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スーパーマーケット豆知識
包丁はなぜ研ぐのですか。また研ぎ方を教えてください。
(Network 2008年12月号掲載記事より)
  包丁を毎日使っていると、刃先が磨耗して、どんどん切れ味が悪くなります。切れない包丁で切ると余計な力が入りますので、手を怪我する恐れがあります。それだけではなく、のこぎりでひいたように断面がギザギザになるため商品の見栄えが悪くなり、細胞が多く破壊されてドリップと一緒に旨みも出てしまいます。つまり、切れない包丁はロスの原因にもなるのです。本来の切れ味を保つためにも、包丁を小まめに研ぎ、手入れをすることが大切です。
 研ぎ方の前に砥石について説明します。少しの刃こぼれや形を直す場合に使う荒砥石と仕上げ砥石を用意します。砥石は使用前に水に漬け、充分に水分を含ませて使います。企業によっては水を使わない油砥石を使う場合もあります。砥石は水平かつ動かないように置いて使います。そうしなければ刃が適正に研げません。砥石自体も磨り減るものですので、へこみ始めたら修正して常に平らに保ちましょう。
 さて、包丁を研ぐときは刃の形に注意する必要があります。刃形が悪いと包丁を生かすことはできません。たとえば、包丁を図1のように極細に研ぎすぎると、力が均等に配分されずに、Wの部分に力が集中して折れやすくなります。出刃包丁の場合は図2のように2段刃に研いで刃先を強くします。
 包丁の持ち方は、表側(野菜を切るように刃を下に向けて包丁を持った場合、右側を表、左側を裏
といいます)が図4で、裏側は図5のとおりです。前方に押し出すときに力を入れ、手前に戻すときは力を抜きます。先端から柄のほうに移動しながら、包丁全体を均一に研ぎ上げます。
 研いだ後はしっかりと水分を取り、アルコール消毒をすると同時に、柄の洗浄、消毒することも重要です。


よく、牛ロース、輸入肉サーロインステーキなどの脂身が、白くなっていたり、
ひび割れになっていることがありますが、どうしてですか。
(Network 2008年12月号掲載記事より)
 主な原因として、水分の 消失による脂の乾燥があげ られます。
 水分の消失は、①流通段階での消失、②店段階での消失、の大きく2つに分けることができます。
 まず「流通段階」での消失について説明します。
 食肉の多くは食肉処理場でと畜・ 解体後、部位ごとに小分けされ真空パックで流通します。その過程に枝肉の状態で冷蔵保管される時、肉が直接冷たい空気に触れて乾燥し、水分が減少します。このような現象は牛、豚いずれにも見られます。店舗においては、と畜・解体から納品に時間を要する輸入肉において、脂の乾燥が現れやすい傾向があります。真空パックを破った時点から急速に品質低下が進みます。
 次に、「店段階」での水分の減少について説明します。
 真空パックを開けて部位肉をスジ引き処理し、一部を商品化して残りを持ち越す場合、脂が乾燥してかさつきます。在庫期間は必要最低限に抑える必要があります。プリパッケージした肉も同様に時間の経過とともに水分が減少します。
 また、発色促進のための「冷やし 込み」(トレイに盛り付けた肉をフィルム包装前に冷蔵庫で予冷すること) も乾燥の原因となります。裸の肉が直接冷気に触れますので、長時間放置し過ぎると脂のかさつきばかりか目減り(乾燥による商品重量の減少) を引き起こします。
 これらの対策として重要なのは、早めの値引き等でお客様に信頼され喜ばれる売場づくりです。

牛枝肉。
肋骨などの姿が木の枝に似ていることから枝肉と呼ばれている。
画像提供:米久(株) 『AJS Network』2005年10月号
「SM基礎講座Ⅶ 精肉編①」より

果物の『追熟』とはどういうことでしょうか。
また、果物の追熟にガスを使うと聞いたのですが、安全性に問題はないのでしょうか。
(Network 2008年12月号掲載記事より)
 まず、果物が「熟す」とはどういうことかというと、 果物のでん粉が糖に変わって甘みが増し、酸が減少して酸っぱさが減るとともに、果物特有の芳香が増すことです。それに対し「追熟」とは収穫してから熟させることを言います。
 果物には「完熟」などと称して高い値段で取引されるものもありますが、品目によっては収穫前では完熟しないもの(メロンやキウイフルー ツ)、また熟しすぎてからでは柔らかくて流通が困難なもの(桃、トマト) があります。このような場合、未熟な状態で収穫した後、輸送中に熟させたり、人為的に熟させたりします。
 人為的に追熟させる果物で最も代表的なものはバナナです。熟したバナナには、日本にいないミバエという害虫の卵がついている可能性があ り、これが日本に入ってくることを防ぐために「植物防疫法」によって熟したバナナの輸入が禁止されています。ですから、海外から輸入した未成熟バナナは「ムロ」という部屋でエチレンガスを使って追熟加工されてから販売されます。
 ところで、追熟に使用されるエチレンガスですが、これは自然界にごく普通に存在する無毒のガスで、非常に簡単な分子構造です。また、植物に対する果物の成熟や追熟を促進させる植物ホルモンでもあります。未熟な青いバナナに少量のエチレンガスを投入することによって、バナ ナの呼吸を促進させ、やがてバナナ自身もエチレンを生成し、黄色くて芳しいバナナに成熟するのです。
 逆に言うと、野菜や果物の劣化は、それ自体が発するエチレンガスが原因でもあるため、近年家庭用冷蔵庫においても、青果物をより日持ちさせる機能として、エチレンガスを分解したりコントロールする装置を兼ね備えたものが多く見られるようになっています。
 追熟を必要とする品種があることは事実ですが、SMでの取り扱いを考えれば、入荷した商品は「販売できる」「食べておいしい」熟度であることが大切です。お取引先様に自社の商品に対する考えをご理解いただき、 販売に適した熟度で納品していただけるよう働きかけることも大切です。


最近「スローフード」とよく耳にしますが、どういったもののことですか??
(Network 2008年9月号掲載記事より)
 スローフードとは、イタリアのブラ(Bra)という街からスタートしたNPO運動です。1980年代半ば、イタリアでファーストフード店がチェーン展開されはじめ、それにより味(食)の均質化が起こり、それぞれの土地にある食文化がつぶされるのではないかと地元の方が危惧を抱いたことがこの運動への発展へつながったようです。
 1996年に発表されたスローフード法令では、活動における次の3つの指針を掲げています。

守る:消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。
教える:子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。
支える:質のよい素材を提供する。小規模生産者を守る。

 日本でも2000年頃からこの運動が浸透し始め、それぞれの土地(風土) の食材と食にまつわる文化を大切にし、地域の食を担い手とともに守っていこうと取り組みが始められています。2004年10月にはイタリア、フランス、ドイツ、スイス、アメリカに次いで、世界で6か国目の国内組織として正式にスローフードジャパ ンが設立されました。スローフードについて、もっと知りたいという方は、スローフードジャパンのホームページを覗いてみてください。

スーパーマーケットはどのように誕生したのですか?
(Network 2008年9月号掲載記事より)
 スーパーマーケットの第1号店は、1930年、A&Pやクローガーなどのグロ サリーストアで30年間経験を積んで きたマイケル・カレン(Michael J. Cullen)という人物が、アメリカ・ ニューヨーク州のロングアイランド に開店した「キング・カレン(King Kullen)」だと言われています。
 前年(1929年)は世界大恐慌の年であり、当時は29%の高い失業率で、多くの人々の家計が苦しい状況でし た。しかし食料品はどこの店も高い値段で商品を販売しており、値段も店員に聞いてみないとわからないという状況でした。そんな中に誕生した、この「キング・カレン」には以下のような特徴がありました。

①店舗を大型化し、充分な駐車場を設置。
②部門別にわかりやすいレイアウトにする。
③セルフサービス方式(レジでの一括清算)にする。
④ダイナミックな価格(今までに無い安い価格)政策をとる。
⑤インパクトの強いショッキングな広告を展開する。

④について、約1,100品目の商品のうち300品目は原価のままで販売し、200品目は値入率5%、300品目は値入率15%、300品目は値入率20%で販売しました。当時のグロサリーストアチェーンは25%前後の値入率だったため、「キング・カレン」はお客様にとって非常に安く、売上げは他のグロサリーストアの100軒分以上でした。ちなみに、店名をCullenではなくKullenとしたのは、彼の息子がスペルを間違えてそうなったというエピ ソードも残っています。
 さて日本に目を向けると、スーパーマーケットの第1号店は、アメ リカに「キング・カレン」が誕生してから26年後の1956年に福岡県北九州市の小倉に開店した「丸和フードセンター」と言われています。売場面積は120坪と、当時としては非常に広い売場を持つ店舗でした。ちなみに1953年に前身が高級果物店の東京都青山の「紀ノ国屋」は、国内で初めてセルフサービスを取り入れた企業です。
 その後1957年には約280店のスー パーマーケットが誕生し、AJSの前身であるオール日本スーパー経営者協会が発足したのは1962年のことです。
このような歩みを経て、今日のスーパーマーケットの発展に至っています。


PI値とは何をあらわすものでしょうか?
(Network 2008年9月号掲載記事より)
 PI値とは、Purchase Indexの略で、それぞれの頭文字をとった言葉です。
 計算式は、販売個数÷来店客数×(*)1,000(または100)で求めることができ、来店客数あたりの販売個数を意味するものです。以下の例を元に考えていきましょう。
(*)1,000人もしくは100人といった一定の精算 客数あたりで算出(企業により異なる)。

 例のように販売個数だけをみると、B店のほうが客数も多くよく売れている ように思いますが、PI値で両店を比較すると、店舗規模が異なる場合でも公 平かつ客観的に評価することができます。
そのためハイライト・アイテムを全 店で売り込んで、販売状況を店舗間で分析する際には、このPI値を有効に活 用することができます。(表1参照) 

なぜ青果物の管理温度は5〜7℃なのですか??
(Network 2008年8月号掲載記事より)
 青果物(野菜・果物)は、魚や肉と違い、売場に陳列されているときも生きています。そのため、鮮度のよい状態で保管するために温度は5〜7℃、湿度は90〜95%を目安にしています。
 しかし温度が低すぎると、青果物によっては低温障害になるものが出てきます。低温障害とは、冷えすぎて傷みが生じ、食べるのに向かなくなる状態です。これは冷やしすぎると青果物の生理作用のバランスが崩れ、病気にかかりやすくなるからです。症状は青果物の種類によって異なりますが、例えばバナナのように冷蔵庫に入れると黒く変色する症状が一例としてあげられます(下表参照)。
このような理由から、青果物の冷蔵庫では効率的に多数の青果物が管理できるように、低温障害が出にくい5〜7℃の温度帯で設定されています。

※ただ注意が必要なのは、冷蔵庫は商品の一時保管であるという点です。時間の経過とともに鮮度は低下していきます。そのため青果部門では入荷当日の売り切りを原則に、できるだけ早くお客様に鮮度のよい状態で青果物を販売することを心がける必要があります。

おつとめ品とは何ですか?
(Network 2008年8月号掲載記事より)
 おつとめ品とは、「品質に問題はないが、少しキズがある、形が悪いなど少々見劣りする商品」を通常より安い価格で提供した場合にそのような言い方をします。
 例えば、
 ・魚の切身を商品化する際、包丁の切 れが悪く、切断面の見栄えが悪い。
 ・野菜の表面に傷みがあり、通常の商品より見劣りする。
 などが挙げられます。
 これは担当者の商品化技術が未熟である場合や、仕入れた商品に問題がある場合などが原因と考えられるケースです。
 こういった商品をおつとめ品として処理するのは、通常価格で販売すると売れ残る可能性が高いため、早めに値引きをして売り切るためです。そうやっておつとめ品が売れると、売場には品質のよい商品だけが並ぶことになり、お客様のそのお店に対するイメージも良くなるというメリットにもつながります。おつとめ品として値引きをする金額は、品質を基準に値引きをして、お客様が得をしたと感じる売価にすることが大切です。
 おつとめ品は、売場のレベルを一定に保つための知恵のひとつとして以前からありましたが、最近では売場のパネルを通してお客様にもその趣旨をお伝えし、納得してお買い上げいただけるようにしている企業もあります。

貝類のケース内の温度はどうして6℃なのですか?
(Network 2008年3月号掲載記事より)
 海産部門での取扱商品は要冷蔵商品、冷凍商品が多く、その管理温度は要冷蔵商品は0℃、冷凍商品はマイナス18℃〜20℃です。その中で貝だけは0℃ではなく6℃で管理します。それは、貝類のみがまだ生きている状態だからです。常温でも管理はできますが鮮度低下が速くなります。かといって、他の海産物と同じ0℃にすると仮死状態あるいは動きが鈍くなり、活きの良い状態でお客様に提供できなくなります。海産部門のほとんどの商品は、温度が低ければ低いほど鮮度保持ができますが、貝類に関しては、活きの良い状態で保てるギリギリの低温で管理する必要があります。その温度が6℃というわけです。
 もし、貝類が売れ残って翌日まで持ち越す場合はどうすればいいでしょうか。もちろんバックヤードの冷蔵庫で保管するのですが、海産部門のバックヤードには、0℃の冷蔵庫とマイナス20℃の冷凍庫しかありません。そのため、貝類を持ち越す場合は、バックヤードに引き下げ、パックを破って中身の品質をチェック(異臭がしないかなど)し、アイテム毎にカゴに移し替え、上から濡れタオルをかけて6℃で管理されている青果の冷蔵庫に保管します。

刺身用の鮮魚で目の上の部分にケガをしているものがありますが、なぜですか?
(Network 2008年3月号掲載記事より)
 「活け締め」と呼ばれる処理で、死後硬直を遅らせ軟化にいたるまでの時間を延ばすことが目的です。生きている状態の魚の頭の上に包丁をいれ、呼吸や循環機能をつかさどる延髄を破壊し即殺します。そうすることによりお客様が召し上がる時点まで死後硬直を維持させ、コリコリとした歯ざわりが楽しめます。刺身用のタイ、ヒラメなどでよく行なわれます。
 一方、活け締めにしないで水揚げ後、生きた魚を氷水につけて酸欠状態で殺すことを「野締め」と呼びますが、この場合は筋肉中のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)の消費が大きく、漁獲→死後硬直→軟化という変化が活け締めに比べて早く進み、鮮度劣化が早くなります。
また、コイの洗いなどで知られる「洗い」と呼ばれる調理方法がありますが、これは生きている状態、あるいはきわめて鮮度のよい物で死後硬直が表れていない物を薄造りにし、氷水にくぐらせたものです。氷水をくぐらせることにより、生臭さを落とすとともにATPも減少させ死後硬直を急速に起こさせ身を引き締めているわけです。「活け締め」も「洗い」もおいしく食べるために死後硬直を人為的にコントロールしているわけです。

牛肉スライスで表面はきれいな赤なのに、
重なっている部分が黒っぽくなっていることがありますが、これはどうしてですか?
(Network 2008年3月号掲載記事より)
 牛肉の色は主にミオグロビンという色素を含んだタンパク質によるものです。
ミオグロビンは暗赤色をしていますが、空気に触れると酸素の働きで酸化現象を起こし、オキシミオグロビンという鮮やかな赤色を示す物質に変化します。
 スーパーマーケットでは、多くの場合肉をスライスして一旦バットにとってからトレイに盛り付けするため、スライスの断面が二度空気に触れます。スライス後すぐに重ねられて空気に充分触れなかった肉の重なり部分はミオグロビンの暗赤色のままとなりますが、空気に触れた外側の部分はオキシミオグロビンの鮮やかな赤色に発色します。この鮮やかな赤色も時間がたつと灰褐色になります。
これは、オキシミオグロビンがさらに酸化して、褐色のメトミオグロビンに変化していくためです。

質問にある、重なり部分が発色できずに黒ずんで見える場合も、メトミオグロビン化が進み灰褐色がかって見える場合も、細菌による腐敗が進んでいなければ食べる上では大き
な問題はありません。ただし、スーパーマーケットの売場でお客様が買われる際の鮮度基準が色であることを考えれば、どちらも問題があります。ミオグロビンの鮮やかな赤からメトミオグロビン化が進んでいれば早めに「おつとめ品」として見切り販売すべきといえるでしょう。

※ミオグロビン以外でも、微生物、酸・アルカリ、光(特に紫外線)、熱などの影響でも肉色は変化します。


なぜスーパーマーケットはセルフサービス方式なのでしょうか?
(Network 2008年1月号掲載記事より)
 スーパーマーケットがセルフサービス方式を導入している理由は、その業態の特性に関係しています。その特性として以下のようなことが挙げられます。
(1)取り扱う商品の種類の多さ
(2)取り扱う商品がふだん食べる食品、ふだん使う商品である
(3)来店されるお客様のほとんどが固定客(週4〜5回来店)
(4)来店客数は1日、1,500〜2,000人と非常に多い。
 上記のように、スーパーマーケットで取り扱う商品の種類はきわめて多く、8,000〜10,000品目がひとつの目安となっています。例えば、SMに来店されるお客様2,000人が1回の買物で10点商品を買われた場合、2万点の商品が動きます。お客様1人に対して従業員1人がその都度対応する“対面販売”では、この2,000人のお客様を公平に、すばやく対応することは不可能となります。そのため、お客様が自由に店内を歩き回り、欲しい商品を手に取って品質や価格を確かめながらカゴに入れ、自分でレジに運んで清算を済ませた後、袋詰めをして持ち帰るという“セルフサービス”が一番理にかなった方法といえます。ただし、“セルフサービス”はNOサービスということではありません。お客様が必要であろう量目、買いやすい売体をよく考えてパックして、商品を品揃えしています。

〈セルフサービス方式の利点〉
◆お客様にとっての利点
・どの商品でもお客様が自由に手に取って選ぶことができる
・気兼ねなく買物ができる
・値段がわかって安心
◆販売側の利点
・大勢のお客様に効率的に大量販売することができる

エンド陳列は縦割りが原則といわれますが、なぜ縦割陳列が大切なのでしょうか?
(Network 2008年1月号掲載記事より)
 縦割陳列が大切な理由は、陳列している全ての商品をまずお客様に見ていただくためです。
これは、人間の視野に関係があります。人間の目は横に2つ並んでいます。そのため、頭や目線を動かさないで自然に見える範囲(視野)は、横方向に長い楕円形で見えています。角度で表せば上下方向は60度、顔の外側方向は100度、顔の内側方向は65度の範囲で見えています。映画館のスクリーンや横長テレビは、人間の視野範囲に合わせて横長にすることで視野いっぱいに広がる迫力のある画像が楽しめるのです。この横長の視野をエンド陳列に当てはめて考えてみましょう。
 横割陳列でABCの3つの商品が陳列されている場合、エンドの前を通過するお客様の視野には、中段のBだけしか見えません。それに対し縦割陳列で左からABCとした陳列では、全ての商品がお客様の視野に入ります。商品が売れるか売れないかの最も根本的な部分として「商品がお客様に見てもらえるかどうか?」という点があります。横割陳列の場合は上段のA商品や下段のC商品の陳列位置ではお客様に見ていただくことが難しく、売れないということになります。
 また、横割陳列では上段の商品の陳列位置が高くて、背の低いお客様では取りづらいという問題点があります。縦割陳列では、上下の商品は同じ種類ですから取れないといった問題も起こりません。
 縦割陳列のエンドで見やすく、取りやすく、選びやすく、買いやすく、迫力のある陳列を実践しましょう。

(青果)陳列ケース奥の壁は鏡が斜めに立てかけてあるのはなぜですか?
(Network 2008年1月号掲載記事より)
 陳列している商品のボリューム感を出すのが目的です。しかし、残念なことにこの鏡を充分に活用できていない陳列をよく見受けます。「本物の商品の姿」と「鏡に映った商品の姿」が一直線になるよう陳列しないと本来の鏡の効果は現れません。
 商品陳列だけで角度を変えようとすると、商品自体の重みで商品を傷めてしまいかねません(下のダミーの角度から調整しなければなりません)。
また、角度が正しく直角になっていても鏡が曇っていてはやはり効果はありませんので、そうした点も注意してみてください。





「蜜入りりんご」といわれるりんごは、どうして蜜入りになるのですか?
(Network 2008年1月号掲載記事より)
 りんごの中でもデリシャス系の“ふじ”などで見かけることが多いようです。
 「蜜入り」は、りんごや日本梨に見られる「みつ症状」と言われるもので、果実の成熟に伴って果肉または果心部組織の一部が水浸状になる生理的現象です。日持ちが悪いのでアメリカでは「ウォーター・コア」と呼ばれ病気扱いされたり、日本でもかつては「ミツ病」として嫌われたこともあります。
 りんごや梨などのバラ科植物では、葉で光合成された糖質はソルビトール(※)として果実に移行し、そこでブドウ糖や果糖、しょ糖などに変換・蓄積されます。“ふじ”などデリシャス系の品種では、成熟が進むに従って果実の中でソルビトールを他の糖に変換する能力が低下し、その結果、果実内にソルビトールが集積することになります。このソルビトールが周囲の組織から水分を吸収することにより、その部分が蜜のように見えるのです。
 「みつ症状」はりんごの熟度を判断する一つの目安となります。蜜自体が甘いわけではないのですが、葉で作られるソルビトールが多いほど症状が大きくなると思われますから、蜜が入っているりんごは全体として糖度が高く、結果としては蜜入りりんごは糖も多くおいしいと言えます。


※ソルビトールとはブドウ糖の還元によってできる
糖アルコールの一種で、甘味度は砂糖の60%です。
工業的にも生産され、保水性があることから生菓子、ケーキ、甘納豆、佃煮、珍味など乾燥しては困るような商品に保湿剤、甘味料など食品添加物として使われています。


バックヤードの壁と床の交差が直角ではなく丸くなっているのはなぜですか?
(Network 2007年10月号掲載記事より)
この丸くなったコーナー部分は、“サニタリーコーナー”または“R(アール)”と呼ばれ、角の直角部分をあらかじめ埋めてしまうことによって、楽にクレンリネスができるように工夫された施工です。
スーパーマーケットの生鮮・惣菜バックヤードや食品工場、病院の手術室、公共施設のトイレなどでこの施工が導入されています。壁と床が交差する角の部分はホコリやゴミがたまりやすく、その角が直角であればデッキブラシやポリッシャーが届きにくく充分なクレンリネスができません。その結果、細菌の温床になってしまうこともあります。生鮮食品のバックヤードのように床を水洗いする場合もふつうの直角コーナーであればいつまでもじめじめとして乾きにくいのですが、サニタリーコーナーなら早く乾燥し清潔に保つことができます。
 雑な掃除を戒める言葉として「四角い部屋を丸く掃く」というのがありますが、四角いから掃除しにくいわけです。はじめから角を作らず丸くしてしまったのが、このサニタリーコーナーと呼ばれる施工です。


魚や肉のパックは2切入り、3切入りが多いですが、何か決め事はあるのでしょうか?
(Network 2007年10月号掲載記事より)
同じ商品の「2切入り」「3切入り」を作ることを「2・3の原則」と呼んでいます。
この2と3を基本単位とすることで、あらゆる家族人数に対応できます。例えば4人家族なら、「2切入り」を2パック、5人家族なら「2切入り」と「3切入り」を1パックずつという組み合わせです。
この「2・3の原則」が売場で実践できているのとできていないのとでは、お客様の買物のしやすさが全く違ってきます。また最近では、少子高齢化や個食ニーズへの対応として「2切入り」「3切入り」に加え、「1切入り」も定番として売場に並べられている企業もあります。各部門に見られる少量パックも同じコンセプトです。
 商品化作業が楽だからという売る側の勝手な都合で、同じ容量の商品しかない売場ならお客様は逃げてしまいます。お客様の視点で商品の容量をチェックし、便利に買物をしていただける売場づくりを目指しています。


スーパーマーケットにとっ てPOPはなぜ必要なので しょうか。 
(Network 2007年10月号掲載記事より)
 まず、POPとは「Point of Purchase (Advertising) 」 の略で、直訳すると「購買時点の広告」となります。具体的には、品名プライスカードや商品説明の入ったショーカード、スポッター、のぼり、売場案内など、小売店の店頭・店内における全ての広告表示物のことを指します。その必要性には以下のような点が挙げられます。

(1)セルフサービス販売のスーパーマーケットにおいて従業員の代わりに商品説明を担う。
 ※売価、産地、メニュー提案、食べ方など。
(2)お客様にとって欲しいものが即わかる→ショート・タイムショッピングの重要な項目の一つ。
(3)商品購入の最終決定を促したり、 衝動的な購買意欲を起こさせる。

 POPを作成する上では、お客様の立場に立ち商品の選びやすさ、情報、楽しさ、便利さなどを買物メッセージとして集約します。商品の特徴を知り、書体、レイアウト、配色などを考え商品と売場にマッチしたPOPを制作しましょう。印刷されたものだけではなく、手書きPOPや実際にその商品をおすすめしている従業員の写真を入れるなど、親近 感や手作り感を出した売場演出の方法もあります。
 上記内容に加え、もちろん誤字脱字、うそや誇張がなく、産地表示なども正確な情報を提示し、何よりもお客様に信頼されることが重要となります。法律に関連してくることもありますので、常にそうした意識を持つことが大切です。
 「夕市」「98円均一」などの催事の際は、一目で売り込み商品がわかるPOPを取り付けましょう。 POPがわかりづらいと訴えが弱くなりますし、特に店内がお客様で混み合うピーク時に売り込みたい商品が売れないということにもなりかねません。
 基本的なことですが、POPと商品が一致しているか、多くのお客様が召し上がる季節商品「今が旬」や、「生活良好」商品を含めた粗利益高を確保できる「おすすめ品」などに、確実にPOPが付いているか、今一度確認してみましょう。

◆POP作成時の注意点◆
・売価は大きく
・コピーは短くはっきりと
・具体的な表現で
・読みやすい字体で

◆POP取り付け時の注意点◆
・お客様の目線に合わせた見やすい場所に
・エンド売場、定番売場など取り付け場所に適した大きさで
・商品を手に取る上で邪魔にならないように


オープンの冷凍ケースは冷気が逃げやすく、扉のあるケースより効率は悪くないのですか?
(Network 2007年8月号掲載記事より)
 オープンンケースと扉付きケースにはそれぞれ長所と短所があるため、これを認識し使い分けを行なう必要があります。
 オープンケースは上部から冷気を出して、縦にエアカーテンを張り、これが壁となって外気と庫内を熱遮断します。外気侵入を防ぐためには、吹き出し風量も多くしなければなりません。長所としては、商品が見やすく、取りやすいので、買物がしやすいことが挙げられます。反面、エアカーテンと外気の接触によりブロー(一部の冷気がオープンケースから漏れる)が出て売場が寒くなる場合や、常に多量の冷風が必要となることなどからコストがかかります。
 一方、扉付きケース(リーチインケース)はオープンケースの開口部にガラスドアを取り付けたようなもので、ガラスドアとエアカーテンで外気熱を遮断します。ですから、ガラスドアにより外気の侵入はドア開閉時に限られます。ドアが閉じているときはガラスを通しての伝熱だけですから、吹き出し風量は少なくてすみます。このように、冷気の流出、外気侵入を最小限に抑え、コストも安く済むので確かに効率的ですが、その反面、ドアで商品は見にくく、いちいちドアを開閉して商品を取り出していたのでは、買物に手間と時間がかかってしまいます。さらに、開閉頻度が高いとオープンケースよりエアカーテンの風量が弱いため、外気が侵入しやすくなり商品への着露、庫内が冷えにくいなどの欠点もあります。


スーパーマーケットの出入口は二重の自動ドアになっていることが多いようですが、
二重のドアには何か特別なわけがあるのですか?
(Network 2007年8月号掲載記事より)
店内の温度を快適に保ち、冷蔵ケース内の温度を設定通りに安定させるためです。二重の自動ドアで仕切られた“部屋”を「風防室」「風除室」と呼んでいます。店内は快適な温度に空調されていますし、オープンケースや冷凍平ケースなど冷蔵、冷凍設備が多数ありますが、これらはお客様が買物をしやすいように扉のない構造になっています。出入口のドアが1枚なら、ドアが開くたびに夏なら熱気が、冬なら冷気が吹き込み、冷蔵ケースの冷気を保つエアカーテンが乱され、ケース内の温度が不安定になったり、コンプレッサーが必要以上に稼動することになり余分な電気を使うことにもなります。

生鮮食品の品質管理では温度の管理が大切なのは皆さんもよくご承知でしょう。二重の自動ドアは温度管理の点で重要な役割を持っているのです。外部と店内を仕切っている二重の自動ドアの動きをよく見ると、同時には開かないように時間調整されているのが分かります。出入りする人は立ち止まることなく2枚のドアを通れますが、外気を運ぶ風はシャットアウトします。


<補足>
この2枚の自動ドアには衝突防止のための工夫もあります。床から1mの高さ(大人の腰の高さ)に10cm幅のカラーテープが貼られています。これは子供の目線に合わせてあり、この場所にドアがあることを知らせるためのものです。無色透明なガラスの自動ドアは、そこにドアがあるように見えなかったり、また閉まっていても開いているように見えてしまうこともあるからです。


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